2012年05月01日

「当事者」の時代/佐々木 俊尚

 400ページ以上にも及ぶ書籍だが,この本を読んで私が感じたことは,ただ一つ「当事者になれ」ということだけである。著者が伝えたいことが,あまりにもシンプルすぎるが故に,逆にこれだけ長い説明が必要だったのかもしれない。
 著者の伝えたいことを,私は次のように理解した。まず,これまでのマスメディアは,弱者の立場に立ち,それを社会に対して大々的に喧伝することを,主たる目的としていた。しかし,それでは,弱者の立場から自分たちを見ることにより,自分達の存在を再認識している行為(著者はこれを<マイノリティ憑依>と呼んでいる)をしているか,あるいは,弱者の存在を傍観し,エンターテイメント程度のものとして見過ごす傍観者にしかなれない。しかも,これはマスメディアに限らず社会全般(つまり個々の人間)にも言えることである。そして,そのような行為は,結局誰も幸せにすることはできない。しかし,現代はインターネットが普及し,一人ひとりが個々の情報を発信することが可能となっている。だから,一人ひとりが「当事者」として自分の情報を自分の言葉で発信していかなければならない。そして,そうすることが,今の社会をより質の高い世界へと変えていくことになる。これまでは,個々の人間は,自分で情報を発信することができず,マスメディアの情報を半信半疑で認識することしかできなかった。しかし,そのような不気味な世界は終わりを告げ,まさにこれから個々の人間が,自分たちの本当の世界を語ることが可能となっている。
 そして私は,この本を読みながら映画「マトリックス」を想起した。まさに著者は人々がこれまで常識だと思っていたことが「間違っていた」と指摘しているのである。人々に「ネオになれ」と言っているのである。これまでの社会のあり方と,これからの社会のあり方は,驚くほどに変わる。それを,著者は示しているのである。それに気がついたとき,私は本当に自分自身で驚いた。まさに佐々木氏が言うとおりだと。それは,最終章に至るまでの長い長い具体例を読んだからこそ,感じた思いでもあった。「なるほど,著者はこれが言いたかったのか」と最後の最後にようやく理解できた。本当にすごい本である。佐々木氏の文筆力には,本当に敬服する。
 さらに言えば,4月に発売されたTM NETWORKのシングル「I am」の詞が,そしてもっと言えば,livetune feat. 初音ミクの「Tell Your World」の詞が,この本の伝えようとしていることと恐ろしいくらいシンクロしていることに,私は時代の流れを感じずにはいられなかった。
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2012年04月20日

5年後の日本をいま買う長期投資/澤上篤人

 お金はないのだが,投資に関する知識は常に更新しておきたいと考え,本書を購入した。私は著者の書籍が好きで,よく購入している。特に,長期投資という発想にとても共感している。
 私が本書で参考になった点は次の通りである。
・長期の投資運用では,アセット・アロケーション(資産配分)の切り替えは絶対である。
→つまり,デフレ経済が続いている現時点なら,株式投資オンリー。そして,景気が過熱気味を経て失速しはじめたら,債券買いのタイミングとなる。
・世界経済は人口の増加以上に成長スピードを速めるのは間違いない。過去150年ほど,いろいろあったが世界経済は平均すると年4%の成長を続けてきた。今後も4%成長を維持するのは,そう難しいことではない。むしろ,加速する可能性の方が高い。
→人の頭数が増えれば,それだけエネルギーや食・衣・住の需要は確実に増加拡大する。
・これから成熟経済の宿命として一般生活者の平均的な給料は減っていく一方だが,税金や社会保障負担は増えるばかり。年金もまったくあてにできない。となると,預貯金マネーにも働いてもらわざるを得なくなる。
→多くの一般生活者が,もう否応なしに「自分も頑張って働くが,自分のお金にも働いてもらわなくては」という状況に追い込まれていく。

 以上である。この本を読んで私が思うことは二つある。まず一点目は,投資というものは確かに正しいのだが,投資先を間違えると多大な損をするという点。よく「投資で失敗した」という話が出るのは事実だし,私自身も投資信託をやってみて,大きな利益が得られたわけでもない。つまり,正しい投資をすることが極めて困難であるという状況に問題があるのではないかと考える。投資をやらない人というのは,そういうリスクをよく認識している人なのだと考える。そして,二点目は,投資というのは,一般の人にとってあくまで人生の補助的なものであるということ。一日中投資のことを考えるなど,本末転倒である。だから,投資というものに人生を翻弄されないように気をつけなければならない。
 そして,私個人としては,世界経済や日本経済の情勢を知る一つの方法として,これまで通り少額でも投資は続けたいと考えている。だから,投資に関しては損得で一喜一憂しないようにしている。それよりは,投資を通じて,世の中を知ることができるのならば,投資自体も意味のある行為と言えるのではないか。最も怖いのは,自分が世界経済や日本経済に無関心になり,無知になってしまうことだと肝に銘じているから。
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2012年04月07日

2022―これから10年、活躍できる人の条件/神田 昌典

 これからの日本がどうのように変化していくのか。著者の意見を率直に知りたくて,本書を購入した。著者は,2022年に向けての日本の姿を大胆に予測しており,正直,私には理解に苦しむ部分もあったが,それでも著者の考えを知ることができたのは良かった。
 私がこの本で参考になったのは,次の点である。
・2015年には,私たちには,何もないことを知ることになる。いったい,何がないのか?おそらく人間の心について,そして人間の可能性について,何も知らなかったことに,はじめて気づくのだと思う。
→これは,鋭い指摘であると感じた。今の世界に圧倒的に不足しているのは,確かに「人間らしい心」である。
・景気は46歳〜50歳の人口の増減によって決まる。この年代は,人生で最もお金を使う年代であり,節約したくても,出費を抑えられない。黙っていても,子供は大きくなり,住居費,教育費をはじめとしたさまざまな費用がかかる。そこで,このような年代に属する人口が,これから多くなる場合,景気は良くなり,少なくなる場合,景気は悪くなるのである。
→今後10年,団塊ジュニアがこの年代に達する頃,日本の景気は良くなっているという予測。大いに参考にしたい。
・いままでビジネスにおいては,社会性と収益性は矛盾すると思われてきた。つまり「社会に良いことをやっても,なかなか儲からない」がビジネスの常識だったのだ。しかし,このところ急速に,「社会に良いことをしなければ,儲からない」に変わってきた。
→これは,結果であって原因では無い。本質的には,人間自体の発想が変化してきたということ。社会が成熟し,人間が本来の価値観を取り戻しつつあると考えることもできる。
・「何が儲かるかで仕事をするのではなく,何に情熱を持ち続けることができるか。それから,はじめないと。つまり,ライフワークだ。ライフワークには,希望退職もなければ,定年もない」
→まさにその通りだ。そして,さらに大切なことは「歳を取っても」情熱を持ち続けることを見つけることだ。若い頃に,情熱のあったことが,歳を取って無くなってしまうようでは,それをライフワークと呼ぶことはできない。

 以上である。この本を読んで,世界は変化し続けているということを,再認識させられた。そして,その進む方向は誰にも預言できない。しかし,意外にもその答えは,「自分の心の中」にあるのかもしれない。なぜなら,世界を変化させているのは,私と同じ「人間」なのだから。そういう意味で,若い世代の人達は,周囲に惑わされることなく,自分と真剣に向き合って欲しいと思う。そして,私自身,自分が何に対して情熱を持ち続けられるのか,しっかりと考えていく。
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2012年03月31日

スティーブ・ジョブズ II /ウォルター・アイザックソン (著), 井口 耕二 (翻訳)

 「スティーブ・ジョブズ I 」を読んだ後,続けてこの本を読んだ。結論から言えば,この本はジョブズの人生について,本当に詳細に書かれている。そして,まるでジョブズの側で自分が見ているかのごとく,頭の中でその光景がイメージされる。本の内容,表現力の素晴らしさ,そしてジョブズ本人の素晴らしさが合わさり,とても素晴らしかった。そして,読んでいる最中に,何度も涙が出た。自分の人生を誠実に必死で生きたスティーブ・ジョブズを,同じ人間として,尊敬せずにはいられないと,そう感じた。
 私がこの本で感銘を受けた点は,次の通りである。
・「私がアップルを買い,君がCEO(最高経営責任者)として25パーセント持つ。ふたりで過去の栄光を取り戻すんだ」(オラクル会長のラリー・エリソンが1995年にジョブズにかけた言葉)
・「我々も常識とは違うことを考え,アップルの製品をずっと買い続けてくれている人々のために良い仕事をしたいと思う。自分はおかしいんじゃないかと思う瞬間が人にはある。でも,その異常こそ天賦の才の表れなんだ」(1997年8月のボストンで開催されたマックワールドにて)
・ときどき“純粋なもの”に出会うことがある。精神や愛という純粋さに。そういうとき,僕はいつも泣いてしまうんだ。心に染みてね。(1997年)
・「なにをしないのか決めるのは,なにをするのか決めるのと同じくらい大事だ。会社についてもそうだし,製品についてもそうだ」
・本当にシンプルなものを作るためには,本当に深いところまで掘り下げなければならないのです。
・優れた会社は「印象」を大事にしなければならない(マイク・マークラ)
・盗みはいけないんだよ。ほかの人たちを傷つけるし,自分の人間性も傷つけてしまう(スティーブ・ジョブズ)
・技術を生み出すには直感と創造性が必要であることも理解していて,なおかつ,芸術的なものを生み出すには修練と規律が必要だとわかっている人は,僕以外,そう何人もいないと思うよ。(スティーブ・ジョブズ)
・人生を左右する分かれ道を選ぶとき,一番頼りになるのは,いつかは死ぬ身だと知っていることだと私は思います。(スティーブ・ジョブズ)
・スタンフォード大学医学部はとくにバラバラで,栄養が痛みのケアや腫瘍とどのような関係にあるのか,考えようとする人さえいないようだった。
・ジョブズがさんざんひどい目に遭わせた何十人もの同僚に話を聞いたが,彼のおかげで,それまでできると考えもしなかったことができたと,皆,判で押したように悲惨な体験談をしめくくるのだ。
・僕がいろいろできるのは,同じ人類のメンバーがいろいろしてくれているからであり,すべて,先人の肩に乗せてもらっているからなんだ。そして,僕らの大半は,人類全体になにかをお返ししたい,人類全体の流れになにかを加えたいと思っているんだ。それはつまり,自分にやれる方法でなにかを表現するってことなんだ−だって,ボブ・ディランの歌やトム・ストッパードの戯曲なんて僕らには書けないからね。(スティーブ・ジョブズ)

 以上である。この本を読むと,本当にスティーブ・ジョブズは,経営者としてだけでなく,人間としても自分に正直で,素晴らしい人物であったのだと痛感する。そして,彼の人生を知ることは,下手な人生の指南書を読むよりも,ずっとずっと価値のあることだ。ジョブズは,経営者だから素晴らしいのではなく,素晴らしいからこそ,経営者になれたのだ。その根本には,人間一人ひとりが,人としてどう生きるべきか。その答えをジョブズ自身が,誰よりも認識していたという事実がある。そこには,利益追求型の「自分さえ良ければ」という利己的な発想は微塵もない。さらに言えば,ボランティアや慈善活動で,自分の虚無感を埋め合わせることも好まず,自分の持っている力を最大限に発揮して,人類に貢献したいというジョブズの明確な思想がそこにはある。そして,彼の考え方に私自身共感する。彼は地球規模で,人類の進むべき方向を見ていたのだ。
 彼の製品を通して,学ぶことは多い。そして,スティーブ・ジョブズから学ぶことは,それ以上に多い。
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2012年03月07日

スティーブ・ジョブズ I /ウォルター・アイザックソン (著), 井口 耕二 (翻訳)

 この本は,スティーブ・ジョブズの生涯について書かれた最も詳しい本である。私は,これまでもスティーブ・ジョブズに関する本を多く読んできた。しかし,これまで読んだどの本とも違っている。この本は彼のサクセス・ストーリーというよりは,ジョブズという人間が,本当はいったいどのような人間だったのかということを,本人だけでなく,家族や恋人,一緒に仕事をした人々の話を元にして,できるだけ現実に近い話として,まとめられている。いや,限りなく現実に近い話と判断しても良いくらいだ。それくらい,ジョブズに関しての,良い面,悪い面を包み隠さず書き記した本なのである。
 私がこの本を読んで,印象に残った言葉は,次の通りである。
・「僕は子どものころ,自分は文系だと思っていたのに,エレクトロニクスが好きになってしまった。その後,『文系と理系の交差点に立てる人にこそ大きな価値がある』と,僕のヒーローのひとり,ポラロイド社のエドウィン・ランドが語った話を読んで,そういう人間になろうと思ったんだ」(ジョブズ)
・インテグレーテッド・エレクトロニクス・コーポレーション(インテルの略)
・「マイクには本当に世話になった。彼の価値観は僕とよく似ていたよ。その彼が強調していたのは,金儲けを目的に会社を興してはならないという点だ。真に目標とすべきは,自分が信じるなにかを生み出すこと,長続きする会社を作ることだというんだ」(ジョブズ)
・「未来を予測する最良の方法は,自分で作り上げることだ」(アラン・ケイ)
・「ジョブズは自分をアーティストだと考えており,設計チームのメンバーにもそう考えるようにしむけました。目標は競争に打ち勝つことでもなければお金を儲けることでもありません。可能なかぎりすごい製品を作ること,いや,限界を超えてすごい製品を作ることでした」(ハーツフェルド)
・BASICというのは,Beginner's All-purpose Instruction Codeの頭字語で,技術にあまり詳しくない人でも異なるプラットフォームへの移植が簡単なソフトウェアが作れるプログラミング言語である。
・「このとき,常に自立したいと思うようになりました。この考え方に私は誇りを持っています。お金は自立の道具であり,私という人間を構成するものではないのです」(ローリーン・パウエル)

 以上である。また,特に印象深かったのは,ピクサーのジョン・ラセターがディズニーに引き抜かれようとしたときに,「ジョブズには恩がある」とそれを断り,そのためにディズニーは,ピクサーと契約することになったという経緯である。やはりどのような世界でも,魅力的な人間のもとに人は集まり,そしてその人の期待に応えるために人は生きているのだなと痛感した。
 スティーブ・ジョブズが魅力的な人間であるからこそ,彼の人生を言語化した本書が面白いと感じられる。スティーブ・ジョブズは,経営者としてだけでなく,一人の人間としても学ぶことが多いと,この本を読んで強く感じた。
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2012年02月03日

2013年 大暴落後の日本経済/中原 圭介

 中原氏の著書は,簡潔で明快なのでよく購入している。この本のテーマは,日本の税制改革,年金問題についてである。2011年3月末の「国の債務」は,924兆円。あと数年で国の財政は破綻し,第二のギリシャになる可能性すらある現在の日本で,今後どのような税制改革を行えば,日本がこの危機を脱することができるのかを,非常に分かりやすく説明している。
 そして,著者が提案している改革は,次の3点のみである。
1.消費税率を20%に引き上げる。
2.法人税率を20%まで引き下げる。
3.年金制度を「賦課方式」から「税方式」へと抜本的に改革する。

 消費税率引き上げの理由は,年金問題と雇用問題の解決である。現在の年金制度は,すでに破綻しており,若者は年金を納めても,老後に必要な額を受け取れるか不安を抱えている。それは,少子高齢化のため,自分たちが受け取れる年金がいったいいくらになるのか,予想ができないからである。したがって,年金を税方式にして明確にすることで,制度の維持が可能となる。そして,その財源として消費税引き上げによる税収を見込むという発想である。また,法人税率引き下げの理由は,現在のグローバル化に対応するためである。世界各国の法人税率は,20%台が多く,日本の法人税率は極めて高い。そのため,企業は雇用を抑制し,海外に工場を作るなどして対応している。そのため,日本には非正規雇用労働者が労働人口の約3割にも達し,景気悪化や少子化の要因にもなっている。法人税率を引き下げることで,企業の雇用問題の解決を図り,グローバル化に対応する。そして,法人税収入の減額を補うために,消費税を引き上げるのである。そうすれば,国民も十分納得できるだろう。
 著者の述べていることは極めてシンプルで単純明快で,中学生でも理解できるレベルの内容である。しかし,それが実行できないのは,政治が麻痺していると言われても仕方がない。既得権益者が,改革を妨害するようなことがあれば,それをはね除けるくらいの力を示すのが,政治家の役目だろう。政治家の方々には,誰よりも広い視野を持って,改革を行ってもらいたいと強く思う。
 日本の財政破綻は,目前に迫っている。今こそ政治家がその実力を発揮するときだ。 
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2012年02月01日

ちょっとトクする英文法/内田 恵, 桑原 陽一, 新妻 明子

 この本は,高校レベルの英語を習得した人が,さらに知識を深めることができる本である。まず,基本的な英文法を理解した上で,この本を読むとさらに知識を深めることができる。私の場合は,この本を読んで「なるほど,そういうことだったのか」と思った箇所がいくつもあった。
 この本で私が学んだ点は,次の通りである。
・自動詞(intransitive verb),他動詞(transitive verb)。
・「someは数量が限定されているがゼロではない」「anyは数量が限定されていなくてゼロもありうる」。
・形容詞も過去分詞も,前位修飾では1回限りの行為ではない永続的な状態を表しているのに対して,後位修飾では1回の行為で生じる一時的な状態を表している。
・不定詞の方が,より動詞的意味合いが強く,一方,動名詞は名詞的な意味合いが強く解釈される。
・toの用法の1つが,到着点を示すのに対して,ofは出発点を示している。
・情報の新旧という考え方は,実際の談話や文脈の中で,「誰が」,「何を」,「誰に」,「どうする」という点のどこを尋ねているかという質問に呼応する形で,より明らかになる。

 以上である。内容としては,高校の参考書よりもやや難しめではある。しかし,この本を読むと英語という言語のしくみが,高校の参考書よりもよくわかるのは間違いない。英語の理解を深めたいと考えている人には,読むことを是非お勧めしたい。
posted by J-HASE at 18:03| Comment(0) | 教育 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年01月15日

残念な人のお金の習慣/山崎 将志

 山崎氏の著書は,読みやすくて面白く,しかも非常に参考になるので,よく購入している。今回もすぐに購入した。そして,帆書も非常に面白く,参考になることが多くあった。
 私が参考になった点は,次の通りである。
・会社は社長が替わらなければ,絶対に変わらない。しかし,社長を変えることはできない。社長は今のやり方が好きで,それがいいと思ってやっている。何で社員にそんなことを言われなきゃならないのだ,というのがまずある。その考え方をあなたが変えるのは,地球を反対に回すくらい大変だ,
・もしあなたが,「社長がダメで」とか「上司のレベルが低い」とか,「周りがやる気がないヤツばっかり」,とこぼしているとしたら,かなり高い確率であなたも同じようなレベルであると疑ったほうがよい。
・商売というのは,モノやサービスを通じて顧客と直に接する経験をすることで,自分の足りない部分に気づき,必要なスキルや知識を身につけるきっかけを作ることができる。
・うまく稼げる人は,どんな相手とも絶対にケンカ別れをしないものである。理由のひとつは,将来的にいつどこで会うかわからないからである。
・もうこの人とは付き合えない,そう思ったときは,すべてを相手にあげてしまう。自分が折れてそれ以上付き合わないようにするのである。
・稼いでいる人はあきらめがいい。常に自分は足りないと思っている。自分の過去と比較したら,それは足りているのだけれど,目標と比較したら絶対に足りない。永遠に足りない。なぜなら,目標は達成したらすぐに次の高い目標が設定されるからである。
・医療費の負担が大変だという意見もあるが,一定限度額を超えた高額医療費は健康保険から戻してもられる。自己負担の限度額は,一ヶ月間の医療費の合計金額,年齢,収入の三つによって決まる。たとえば,年収六〇〇万円の四〇歳男性が,一ヶ月間に一〇〇万円の医療費を自己負担として支払ったとしても,九〇万円弱が払い戻される。このように,我が国の健康保険制度は非常に手厚く,治る病気であればお金自体に起因する不安に対して,過度に気にかける対して,過度に気にかける必要はないといえる。
・高収入を得ている人のお金の使い方のポリシーとして,モノやサービスの価格云々よりも,そこから生まれる「機会」を重視してお金を使っている印象を受けることが多い。
・仮に一〇〇万円の投資信託を買うとしよう。手数料一%で,信託報酬一・五%だと,初年度は,一・五%,合計二万五〇〇〇円の手数料だ。一方,自分で選んだ株式やETF(証券取引所で買える投資信託)を買うなら,手数料は五〇〇円から一〇〇〇円程度で,率にして◯・◯五%から◯・一%である。しかも,買ったあとには一円も払う必要がない。
・希望は自分で探す以外にない。希望はあると思えばあるし,ないと思えばないのである。希望があると思う人生のほうが楽しいはずだ。

 以上である。この本の素晴らしいところは,お金を稼ぐためのテクニックをとやかく言っているのではなく,お金を稼ぐ人はどうあるべきかという著者の経験と知恵が語られている点である。そのような非科学的な意見は,場合によっては人を説得したり納得させることはできないかもしれない。しかし,それが著者の経験に基づいているからこそ,数式化できない思考や観念が存在すると私は考える。そして,読者である私達にも,そのような人間としての魂(あるいは意識)のようなものが存在するのであれば,著者が言わんとしていることは理解できるはずである。
 そして,少なくとも私自身は,著者が伝えようとしていることの片鱗は理解できる。だから,山崎氏の本は,とても有難いと感じている。
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2012年01月04日

ジョブズ・ウェイ 世界を変えるリーダーシップ/ジェイ・エリオット (著), ウィリアム・L・サイモン (著), Jay Elliot (著), William L. Simon (著), 中山 宥 (翻訳)

 この本の著者であるジェイ・エリオット氏は,Macintoshの開発初期にジョブズにスカウトされて,以後,ジョブズがいったんアップルから追放されるまで,非常に親密な側近として働いていた人物である。したがって,ジョブズの発言を拾い集めて書籍化した本とはまったく異なった趣がある。ジョブズの近い場所にいただけに,本来のジョブズの姿が最も正確に記されている本ではないだろうか。
 私がこの本を読んで学んだことは次の通りである。
・「これと決めた事柄には,人生の非常に多くを注ぎ込むはめになる。たいていの人ならあきらめそうな,つらい時期が何度も訪れる。途中で投げ出す人がいても無理はない。とてもきつく,命をすり減らすことになる」(スティーブ・ジョブズ)
・ジョンが(または取締役会が)スティーブを「解雇した」あるいは「辞めるように勧告した」という話が定説になってしまっている。しかし,これは事実に反する。
・利益とは,製品と経営陣が生み出す結果にすぎない。
・「現状を眺めて,『なぜこうなのか?』と問う人もいる。けれどわたしは,まだ実現していない事柄を夢見て,『なぜできないのか?』と問いかける」(ロバート・ケネディ)
・「方法を簡素にして,理想を高めることこそが,究極の目標なのである」(ヘンリー・デビッド・ソロー)
・「わたしは,何をやるかと同じくらい,何をやらないかにも誇りを持っている」(スティーブ・ジョブズ)
・「量よりも質が重要だ。そのほうが,財政的な判断としてもすぐれている」(スティーブ・ジョブズ)

 以上である。この本は,そのまま映画にしてもまったく問題ないくらいのジョブズに関する話が満彩である。だから,読んでいるだけで,ジョブズの映像が浮かんでくるほどだ。それほど詳細にジョブズのことが書かれている。他に類を見ない貴重な本である。
 そして,私は次のようなことを空想した。もし仮にジョブズがアップルを去ることなく,新製品を作り続けていたとしたら…。1995年Windowsによってパソコンの世界は刷新され,特別な人間だけが扱うことができたパソコンを,多くの人が手にするようになった。そして,それから15年が過ぎ,今でもWindowsのシェアは揺るぎない。しかし,ジョブズがiPhoneやiPadのような魅力的な製品を当時Macintoshとして,作り続けていたら,もしかしたら,今の世界はまったく違うものに変化していたかもしれない。しかし,それでもジョブズの夢はテクノロジーを世界に広めるということだったから,iPhoneやiPadという形で,多くの人がジョブズの作品(製品)を使うようになってくれたので,彼も満足かも知れない。将来的にコンピュータというものは,不要になるかもしれないが,そのときに,ジョブズの描いた未来が,ジョブズの製品で実現してくれれば,彼も本望だろうなと,個人的には思った。
 そしていつか,アップルのハイ・センスが,世界のトップシェアになるような,そんな崇高な世界が実現すれば,本当に素晴らしいなと正直思う。
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「リーダーの条件」が変わった/大前 研一

 大前研一氏の本は,毎回購入している。今回も参考になることが多くあった。私がこの本で学んだことは次の通りである。

・ヨーロッパは,電気の周波数が国別に異なっていたものを今では50Hzに統一したので,アセア・ブラウン・ボベリ(ABB)やシーメンスは,50Hz(東日本)と60Hz(西日本)に分かれている日本の東西グリッド(送電網)の接続もお手のものだろう。今回の大震災を機に,単なる「復旧」に留まらない,全く新しい電力インフラを創造する気概と発想力が求められているのである。
・そもそも自給率に算入する農産物の生産地が国土の中だけである必要はない。日本が投資して長期契約している海外の農場や牧場などで生産された食糧は,土地が海外にあるだけで自給しているのと同じだから,自給率に含めればよいのである。
・日本の水道水は「塩素」にこだわりすぎているという問題がある。日本は法律上,水道水には塩素を入れて消毒・減菌しなければならない。だが,オランダなどでは塩素ではなくフッ素を加えているし,アメリカではフッ素と塩素を両方使っている。フッ素の利点は虫歯の予防ができることである。だからオランダ人やアメリカ人は虫歯が非常に少ない。ところが,日本では水道水にフッ素を加えようとすると,歯科医師の経営にマイナスの影響が出るといった理由からか,実現できていない。
・この国で優れたリーダーが出てこない理由の1つは,国民一人一人に「信念」がないからだと思う。信念がないと,「とにかく引っ張っていってくれる人がいい」「何をやるべきか教えてくれる人がいい」ということになり,結局,独裁者を「リーダー」と思ってしまうようになる。その意味でも,「救世主」が現れるのをただ待っているだけ,というのは危険なのだ。

 以上である。特に,食糧自給率については,私自身大いに誤解していた面がある。また,水道水に関する話は,もし本当に「水利権」が原因でフッ素を使っていないということであれば,それは本当に大問題だと感じた。また,国民一人一人に「信念」がないという意見も,まさしくその通りという思いだ。それは,私自身も含めて,まだまだ勉強不足であるということを認めなければならない。大前氏の知見は非常に高く,私など彼の足下にも及ばない。だから,大前氏の出す本は必ず読んで,これからも多くを学びたいと考えている。
posted by J-HASE at 22:48| Comment(0) | 社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする